この6人の中では一番の古株で、乳児の頃のオリガミ職人も知っている。
先代のオリガミ職人(現オリガミ職人の親)のモノであり、その人から魔力を得てヒトの姿になっていた。
工房で与えられた役割も、穴あけパンチとしてではなく子守だった。
初めは戸惑いこそしたものの、次第に慣れていくうち、自分が文房具であることに強い違和感を抱くようになった。
また、ヒトへの強い憧れがある。食事を摂り、体温を感じ、深い眠りにつくことは、彼にとっての喜びであった。
しかし、ヒトの姿になったところで自分がモノであることは変わらない。
口に何を運んでも味はしないし喉を通らない。目を閉じても景色は変わらない。
自分の欲求を満たすためのすべてが自分を拒絶し、深い悲しみを覚えている。
先代が息子と共にオリガミ祭りのために家を空けてから数十年の時が経ち、自分の持っていた魔力も底を尽いて元の文房具の姿へと戻った。
工房に帰ってきたのは現職人だけだったが、彼は当時乳児だったこともあり、こちらのことを覚えていなかった。
覚えていたとしても、文房具姿を見たところであの時自分を育ててくれた存在と合致するかは怪しいところだが。
現職人はモノをヒトの姿へ変える仕組みを理解しておらず、結局この二人が再会することは無かった。
数字にうるさいところがある。几帳面な性格で、穴を空ける際はまず対象を測定するところから入る。
キノピオの顔面に手を添えながら数字をぶつぶつ呟く姿は不気味である。
DJキノピオの顔にも穴を空けようとしたが、
彼が涙や鼻水で顔面を濡らしてしまったため、うまくいかなかった。
どうしてもキレイに穴を開けたい性質なので一度諦めたが、再度彼の顔を見やった時のその怯えた表情は面白かったので、しばらく放置しておくのもアリかと考え直す。
DJに自分の"違和感"について話すも、理解はしてもらえなかった。
しかし、そのおかげでどこか吹っ切れて、どうでもよくなっていった。
自分のダンスパフォーマンスは徹底的に磨き上げ、妥協は許さない。自分に厳しい一面も持ち合わせている。
ちょっとしたリズムのズレにも神経を使うので、すぐ疲れてしまう。
声を荒げるクセもあるためDJからは恐れられているが、ただただ繊細なだけである。
また、性欲も強く、軍団全員と体を重ねた経験がある。相手によって反応が違うのでそこが面白いらしい。
オリー王にも手を出そうとしたが、ホッチキスに全力で阻止された。
DJともいつか関係を築きたいのだが、どこか躊躇している。
相手が本物のヒトだからだろうか。そして自分がモノだからだろうか。
熱を持った視線にDJが気づくこともなければ、
この感情の行き場を本人が見つけ出すことも叶わなかった。
ディスコ全体を取り仕切る演出家。 宙を指でなぞって穴を空け、取った切りカスも自由に使いこなす。フリーハンドでも一才のズレのない綺麗な正円を描くことができる。 根っからのダンサーだが、体を大きく動かせる戦いも嫌いではない。ダンスバトルをするつもりが、ついつい相手を攻撃してしまうことも。それで反感を買われてもお構いなしである。
世界の理を知る過程で生まれた負の感情の権化。
太陽を空けた先の真っ暗な闇が忘れられず、世界に穴を開け続ける。
空間にも穴を空けることができ、相手がどこにいようと動きを封じ込めることができる。
悪魔のような翼は、相手のフィーリングと共鳴して黒く光る。バランスを取る時に便利なので高度なダンスもできる。
ダンスの他にパルクールも覚えて機動力が強化された。
どんなに高い壁も悠々と越え、崖はかろやかに降り、段差を昇るのにもいちいち技を使ってパフォーマンスを見せつけてくる。
観客が盛り上がることで自分の能力も上がっていく。バトルは長引かせたくない相手。
切りカスはフードの中にしまっているので、空けすぎるとしょっちゅうこぼれ落とす。ゴミなので捨ててしまってもいいのだが、利用されると困るため、自分で持っておきたいようだ。
太陽の光を吸収して魔法力を上げた夜の覇者。
無力化した相手をとことんいたぶって悦に浸る、性格の悪い奴。身動きの取れない相手の恐怖に染まった顔を見るのが好き。
逆に、にこにこと笑った顔を見ると思わず穴を空けてしまうくらいには大嫌い。
翼も案外紛い物とは言い切れず、羽ばたけば多少宙に浮くこともできる。
ただ、ダンスには少し邪魔になった。この姿はどちらかといえば戦闘向きなので、無理に踊ったりはしない。