この解釈のキノコ族は一定の年齢から老いることがなくなる。
見た目は少年の姿だが、彼は立派な老練のオリガミ職人である。
自分の高い魔力と熟練の技を使い、"オリガミ"を新しい種族として迎え入れる準備をしていた。
いのち折りでたくさんのオリガミを作り出し、オリガミのための王国を建てることで、ヒトとオリガミの共存を図っていた。
乳児期は先代オリガミ職人である父親とキノコ島で暮らしており、次代のオリガミ職人となるために、物心つく前から工房でオリガミに触れていた。
そこでヒトの姿の文房具とも触れ合っていたのだが、当時の自分はあまりにも幼かったため、それが誰だったのかは思い出せない。
前回のオリガミ祭りの最中で火災事故に遭い両親を失っている。
そしてその後は島へ戻ることもできずタウンで親戚に育てられていた。
一度はオリガミから離れたものの、カミを折るクセはすでに身についていたようだ。
子供の頃からさまざまな文房具を使いこなし、カミを使った工作で彼の右に出るものはいなかったという。
職人技を引き継ぐことはできなかったが、オリガミ職人としての道は決して絶たれてはいなかった。
そして、自分が立派なオリガミ職人となった時には、もう一度オリガミ祭りをやりたいと願っていた。
身も心も成熟したところで、ようやくキノコ島へ帰ることができた。
あらゆる生命を"カミ"と認識してしまうため、誰かを本当に折ってしまう前に、オリガミ職人は街を離れたのだ。
オリガミ職人における職人技とは、オリガミに生命を吹き込んだり、似た要領でモノに動力を与えヒトへと変えさせる能力のことで、
普通は先代から教え込まれて引き継がれていくものである。
正式な継承が果たされなかったものの、遺伝した強い魔法の力と、オリガミにかける情熱をもってなんとかいのち折りを成功させようと奮闘する。
失敗が重なるにつれて歪んだ命と対面することに心を病んでしまいかけた時、謎の青年が現れた。自身がいのち折りのために使っていた文房具が、ヒトの姿になったのである。