暇すぎて多趣味になった文房具。
平和な毎日に辟易しており、この世界に大きな変化がもたらされることを密かに祈っている。
魔王の存在は認知しているものの、すぐ英雄に倒されてしまうという話も耳にしているので、あまり頼りにはしていない。
魔王よりも強大な力を持った、刺激的な存在が現れてほしいと願う毎日である。
最近は裁縫にハマっており、縫い付けることに使命感を覚えている。
自らの手で作り上げたものに誇りを感じており、部屋には何体もぬいぐるみが飾られている。
ぬいぐるみに関しては、特にパンチが気に入っており、おもちゃとして与えたこともある。
お礼としてダンスを見せてもらったが、体の硬いホッチキスには縁の遠い趣味となりそうだ。
運動不足なハサミにゴルフを教えてみたこともあったが、うまくいかなかった模様。
それでもなんとかハサミに何か遊びを提供させたいと思うこの頃。というか暇なので構ってほしい。
服を自分の体で切り裂いてしまうと悩んでいるみたいだったので、いくつか服も仕立ててやったことがある。
気に入らないのか、大切にされているのか、あまり着てもらった試しはないのだが。
猫背なのは、そういう骨格だから。
姿勢が悪いせいであまり背が伸びないことを気にしている。
セロハンテープに身長を追い抜かれた時は気持ちもささくれ立っていた。
ごくありふれた平和な世界において、突如として変革を起こし、世界征服を目論むオリー王に忠誠を誓った。
特に、魔王をいとも簡単に折りたたんでいく姿に惚れ込む。
ホッチキスは軍団最後の砦という重要な役割を与えられた際、彼は喜び勇んでその任務に臨んだ。
長年にわたってこっそりと鍛錬を重ねてきた彼にとって、その日がいつか訪れることを信じていたのだ。
仲間たちの死については、彼にとってそれほどのショックを与えなかった。
ホッチキスは彼らを「平和ボケした弱者」と見なし、その死を受け入れている。
その背景には、もともと孤独な生き物であった彼の心が、他者とのつながりを築くことに抵抗感を抱いていたことが影響しているのかも知れない。
彼は常に独りであり、一人で戦うことを選び、その決断を貫いている。
裁縫師としての技量を持ち、紙や布などあらゆる素材を繋ぎ合わせることができる。
攻撃方法は、針を罠として使ったり、そのまま敵に投げつけたりすることで、繊細な技術を戦闘に応用している。
オリーも気に入っている能力なのだが、ぬいぐるみを作ってもらった時はあまり良い顔をしなかった。
最後の刺客として選ばれた強大な存在。見かけによらず、動きはキビキビしていてすばしっこい。
その素早い身のこなしで敵に向かってくる姿は、まるで暗闇から飛び出した鋭利な刃のよう。
彼の攻撃は迅速で容赦がなく、狙われてしまったら最後。逃れることはできない。
細かいほつれ一つも許さず、完璧な縫合を行う。
ちぐはぐになり、原型が残っていなくても、徹底的に再構築し、新たな姿を生み出してくれる。
彼の手にかかれば、何物もが生まれ変わり、新たな命を得ることができるだろう。
もちろん、死んだ命を蘇生させられるわけもないので、生まれてくる命たちはいずれも歪な存在である。
この世の善悪に逆らう反逆者。自らの信念を貫き、王の命令に忠実に従う。
彼の姿は、まるで闇から生まれたように暗く不気味であり、狂犬のように激しく暴れ狂う。カミでもない限りは、誰にも止められない。
本当は孤独ではないのだが、そう思い込んでいる彼の行動は予測不能であり、目の前に現れれば、その場に混乱と破壊をもたらすことを意味している。