オリー王が肉体を与えた唯一の文房具。
他の文房具の肉体は、
オリーに受け継いだチカラでホッチキスから与えたもの。
しかしあまり完全体とは呼べない代物で、ほとんどが人間のガワだけの、内臓をもたない存在となっている。
同様の力でオリガミ兵も作り上げているが、こちらも意志疎通が困難な歪なもの。
文房具たちのほうが流暢に言葉を扱うので、ペラペラなものよりも、モノ自体に肉体を与えるほうが得意らしい。
自分に生命を吹き込んだオリーのことを、王を越えた神だと信じている。
意志そのものはオリガミ工房にいた時からあったものだが、生物として生まれた喜びは何物にも代えられないことのようだ。
彼はオリーのために働くのが使命であり、自分の意思はオリーにだけ伝わればよいとさえ考えている。
オリーとしては、ブンボー軍団ともう少しまともな交流をしてほしいと思っている。
類を見ないポーカーフェイスの持ち主でもあり、淡々とオリガミ兵を作る姿しか見てきていないブンボー軍団からは
「何を考えているのかわからない」「ヒトの形をしたキカイ」などと恐れられている。
しかし、時折「無口なのは口下手なことがバレたくないからでは」と噂されることもある。
本人としてはそれらの何が正解だろうが関係ないしどうでもいい。
オリーとのコンタクトはもっぱらテレパシーで、声を発することは滅多に無い。
ある時タンスに小指をぶつけて犬のように唸っていたところをセロハンテープに目撃されたことはある。
それ以来セロハンテープからは「意外と鈍臭いやつ」と思われているようだが、本人はそのことを知らない。
武器を一振りすると一閃の光を放ち、斬られたターゲットは体が縛り付けられるように身動きが取れなくなるか、
生命遺伝子を書き換えられて歪んだオリガミ兵に変貌する。
耐久力は有限で、振れば振るほど刃先は消耗し短くなっていく。
王が命令するまでは、自らの意思で刀を抜くことは無い。
王の命のもと、生か死か審判を下す裁判官。彼がそこにいるだけで空気は重く、凍りつき、その威圧的な姿は、影を纏う暗黒そのもののようである。
裁きの鉄槌を振り落とし、その大きな体で覆い被る瞬間は、相手にとって地獄の門が開かれたものと錯覚するだろう。